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【#PrayForKyoani】『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 - 』 感想/京アニの強さを最大限に発揮した優しさ溢れる映画

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文章:蒼崎青太郎(twitter:@seitaro_aozaki)

9月6より3週間限定で公開されている京都アニメーション最新作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』の感想です。

藤田春香さんの初監督作品にして演出、脚本、作画のどれもが文句なしの傑作として仕上がっていました。

作品紹介・あらすじ


『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』予告

2018年に放送され人気を博したアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の外伝。名門女学園を舞台に、貴族の娘が教育係として現れた元少女兵と奇妙な絆を育む。監督を務めるのはアニメ版のシリーズ演出を務め、『響け!ユーフォニアム』シリーズなどに携ってきた藤田春香。

白椿が咲き乱れ、良家の娘のみが通学を許される名門女学園に通う大貴族ヨーク家の跡取り娘イザベラ・ヨークは、父親と交わしたある契約が原因で学園生活が苦痛でしかなかった。あるとき、彼女の専属教育係として元少女兵ヴァイオレット・エヴァーガーデンが学園に派遣される。彼女はC.H郵便社で、代筆を通して人の心に触れることができる自動手記人形といわれる代筆業に就いていた。

ただ動いているだけでなく、生きているキャラクターたち

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本作は京都アニメーションの人気作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の外伝を劇場公開作品。『響け!ユーフォニアム』や『Free』などで演出や原画を担当してきた、藤田春香さんによる初監督作品です。

TVシリーズから見てきた作品でしたので7月に起きた事件のことなど関係なしに、もしつまらなければつまらないと正直に言うつもりでしたが、全くそんなことはありませんでした。

演出、脚本、作画の全てが文句なしです。

山田尚子監督の『映画 聲の形』や『リズと青い鳥』(『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ作品)などを筆頭に、京アニの劇場公開作品の多くは映画としての完成度が非常に高いと元から定評がありますが、本作もそれらと同じで深夜アニメの劇場版とは思えないほどのハイクオリティーであることは間違いないものだと思います。

それを可能にしているのは、表現力の豊かさや繊細さによってキャラクターが本当に生きているように感じさせられるところにあるのではないかと僕は思います。
ただキャラクターが動いて声優さんが喋っているだけではなくて、本当に生きていると感じさせられる。

これがやはり他とは違うし、京都アニメーションの何よりもの強さであろうと思います。

特に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』はTVシリーズから特にその繊細を感じる作品でした。それが藤田春香監督の初監督作品として劇場公開されても全く劣化していません。京アニの強さを最大限に発揮しています。

一本一本の髪が擦れる音やハイヒールが床を踏む音。そこに合わさる20世紀初頭のヨーロッパのような風景とキャラクターの人を想う優しい気持ちが、文句なしの演出、脚本、作画によって描かれています。

こんなに優しい作品を映画館で鑑賞したのは片渕須直監督の『この世界の片隅に』以来のような気がしています。

決して大袈裟なことを言うつもりはありませんが、宮崎駿や今や最強の新海誠が手がける作品にも引けをとらないほどの素晴らしい作品でした。

一本の映画としてTVシリーズ未見でも楽しめる作品

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本作は2018年1月〜4月にかけて深夜帯に放送されていたTVアニメの外伝です。

TVアニメの劇場公開作品、特に深夜アニメの劇場公開作品の多くはあくまでもTVシリーズを視聴済であることが前提とした内容構成になっていますが、本作は初見でも大丈夫です。

一本の完成された映画として十分に楽します。1800円を払う価値は十分にあると僕は思います。

なので是非とも多くの人にこの素晴らしい作品に触れて頂きたい。そして気に入っていただければTVシリーズの方も是非みてほしいです。所詮は深夜アニメと侮ることなかれ。TVシリーズから劇場公開作品としても耐えうるほどのクオリティです。

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は公開延期。けれど何年でも待ち続けます。

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2020年1月10日は完全新作の『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の公開が予定されていましたが、諸般の事情により公開の延期が決定されました。

これはどう考えてもやむを得ないことだろうと思います。今の状況では5ヶ月後に劇場版を公開する余裕などあるとはとても思えません。

しかし公開されるのが例え5年先でも10年先でも、僕はこの作品に教わった優しさを大事にしながら待ち続けます。

この記事が京アニ関係者に読まれていることはないとは思いますが、決して焦らずゆっくりとしてください。少なくとも僕はいつまでも待ち続けますから。


・筆者プロフィール

蒼崎青太郎(Seitaro Aozaki)

1993年12月25日、福岡県福岡市生まれ。カルチャーマガジン『蒼青堂』主宰。大学卒業後の2016年4月に新卒で鉄鋼系商社に入社。営業として鉄工所やゼネコンへ鋼材や建築資材を売り歩くも、少し捻くれた性格からか会社員として働くことに限界を感じ、2019年6月末で退職。そして現在に至る

趣味はアニメ鑑賞、映画鑑賞、読書、模型作りなど。二次元美少女と日本軍の飛行機が好き。オタク。
名前の蒼崎青太郎は本名ではなく、TYPE-MOONのノベルゲーム『魔法使いの夜』に登場する蒼崎青子が由来。
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